これがダニエル・クレイグのボンドのフィナーレとなった『ノータイム・トゥ・ダイ』(No Time to Die)。衝撃的な結末が話題です。
この記事では、映画を観て抱く謎や疑問を解くヒントを紹介します。
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ジェームズ・ボンドは死んだのか?
はい、本作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でジェームズ・ボンドは死にます。
何十年も前に作られたボンドシリーズ。シリーズを通し、決まったフォーマット、「型」がありました。本作ではそれをあえて破り、ボンドが死ぬという予想外の結末になりました。
本当に死んだのか?
今回本当に、ジェームズ・ボンドは死にました。背中を撃たれ、瀕死の重傷を負い、そして爆破され、その後、いつものようにボンドは戻ってきませんでした。
結論:少なくとも、ダニエル・クレイグが演じたジェームズ・ボンドは死んだ
エンドクレジット後の映像は?
ありませんが、クレジットの最後まで見ると、これまでの多くの007映画を締めくくる有名な言葉が出てきます。すなわち「James Bond will return.」(ジェームズ・ボンドは帰ってくる)。
それが実現すれば、ダニエル・クレイグ以外の人物がこのキャラクターを演じ、シリーズが新たにリセットされることになります。
マチルドは本当にボンドの子供なのか?
ほぼ間違いないでしょう。ただ、
マドレーヌは「マチルドは彼(ボンド)のものではない」と語っていました。このように微妙な言い方をしています。これは、ボンドが父親ではないとの意味にもとれます。同時に、ボンドのような殺し屋を父として認めたくないという意味にもとれます。
ボンド自身は、自分と同じ青い目をしていることから、自分の子どもではないかと考えているようです。
サフィンは、ボンドに自分の子供だと言いますが、これはサフィンが、ボンドを操り、挑発するために嘘をついた可能性が高いです。
最後には、マドレーヌはボンドが父親であることを認めます。ですが、これもボンドの最期の瞬間を慰めるための嘘とも言い切れません。
この点の真偽は映画では曖昧です。
結論:最終的にはあなた自身で判断するしかありません。
Mがボンドの弔辞のために読んだ言葉とは?
「人間の本来の役割は生きることであり、存在することではない。私は自分の時間を延ばそうとして無駄にしない。私は自分の時間を使う」(“The proper function of man is to live, not to exist. I shall not waste my days in trying to prolong them. I shall use my time.”)
この言葉は、作家のジャック・ロンドンによるものとされています。007シリーズの著者イアン・フレミングは、小説『007は二度死ぬ』の中で、ボンドが死亡したと推定されたときに、ボンドの追悼文にこの言葉を使用しています。
上の引用から、役割を果たさない=(生きながら)死んでいる状態といえます。タイトルに引き付けていえば、ボンドは常に自らの役割を全うしています。つまり、常に「死んでいない」状態でした。その意味でのNo Time to Die(死んでる暇はない)な状態だったと無理やり考えることもできます。
「No Time to Die」の原作は?
直接の原作はありません。
しかし、他のボンド映画と同様に、映画制作者はイアン・フレミングの著書からいくつかの要素を取り入れています。今回の映画では、『007は二度死ぬ』を参考にしていると思われます。この本では、ボンドが漁師として生活しますが、その後、スペクター首領・ブロフェルドがいる日本へ行き、そしておそらく(ボンドは)死ぬというストーリーになっています。
本小説では、ボンドの恋人であるキッシー鈴木が妊娠しますが、その子供が小説の中で再び言及されることはありませんでした。
『007は二度死ぬ』は、これまでのボンド作品の基準から見ても、どちらかというと泥臭く、死に取り憑かれた作品となっています。シリーズの最後から2番目の作品であり、フレミングが生前に実質的に完成させた最後の作品になりました。
またボンドは、『女王陛下の007』でもヴェスパー・リンドの墓参りをしていますが、小説の中で生涯の恋人であるトレイシー(テレサ・ディ・ヴィチェンツォ)と出会い、結婚しています。
ナノボットのアイデアは?
いみじくも本作は、愛する人と触れ合うことができなくなる感染症をテーマにした映画になりました。ナノテクノロジーというコンセプトは、サフィンの細菌兵器とは、いまいちマッチしていません。
新型コロナが拡大する中で、このアイデアが新たな要素としてが追加されたのではないでしょうか。
ヘラクレスとは?
ヘラクレスとは、ご存じ、ローマ人がヘラクレスと呼んでいた古代の英雄です。女神ヘラに迫害されたヘラクレスは、自分の子供を殺し、懺悔のために12の苦行を強いられました。
この伝説は、映画の結末と一致しています。
悪者のケンタウロスがヘラクレスの妻を騙して毒入りのシャツを与えたところ、生物兵器が触れた人を殺すのと同じように、ヘラクレスの皮膚を焼いてしまったのです。毒を盛られたヘラクレスは、毒を盛ったボンドが爆破を選んだように、自ら自身の火葬場を作り、焼かれます。
似ているのはそれだけではありません。ヘラクレスの人間の体は燃えてしまいましたが、神としてオリンポスに昇り、存在しつ続けました。
同じようにダニエル・クレイグのボンドは死ぬかもしれませんが、ジェームズ・ボンドのキャラクターは永遠なのです。
次のジェームズ・ボンドは誰だ?
今後さまざまな憶測が流れるでしょう。
たとえば、
- マイケル・ファスベンダー
- トム・ヒドルストン
- イドリス・エルバ
- ヘンリー・カヴィルなど
もしくは、いまはまだあまり知られていない俳優が選ばれるかもしれません。
期待して待ちましょう。
さいごに ボンドの死と折り合いをつける
アート・ディレクターで映画ライターの高橋ヨシキさんは、5部作からなるダニエル・クレイグ版ボンドは、サーガ(一連の物語)であり、今回は、あくまでダニエル・クレイグ版のボンドが死んだにすぎず、007「ジェームズ・ボンド」自身が死んだわけではないと語ります。
クレイグ版のボンドしか知らない人には堪えるかもしれませんが、一方、これまでのボンドを知っている人からすれば、ピアース・ブロスナン⇒ダニエル・クレイグに変わったときの衝撃のほうが、今回の死より大きかったと思われるため、なんとか乗り越えられるのではないでしょうか。
参考:No Time to Die: All your burning questions answered (major spoilers)
https://www.cnet.com/news/no-time-to-die-all-your-burning-bond-questions-answered-major-spoilers/
The Official James Bond 007 Website | No Time To Die JP
https://www.007.com/no-time-to-die-jp/
↑ちなみに、小ネタですが、2005年の作品でダニエル・クレイグはモサドの暗殺者(諜報員)を演じています。クレイグ版ボンドをどこかほうふつさせるところがあります。
以上ありがとうございました。