『三千円の使いかた』
今回紹介するのは、原田ひ香さん著 『三千円の使いかた』です。
「節約」家族小説と紹介されているように、テーマはお金です。
お金がテーマであることは、目次からもよくわかります。
目次
第1話 三千円の使いかた
第2話 七十歳のハローワーク
第3話 目指せ、貯金一千万
第4話 費用対効果
第5話 熟年離婚の経済学
第6話 節約家の人々
こんな人におすすめ
- お金の大切さはわかっているけど後回しにしている人
- 固定費を見直したい人
- 投資に興味があるけど不安な人
- 就職、退職、結婚、離婚、など人生の岐路にたっている人
- いきがいが見つからない人
「自分もやってみよう」と思える
登場人物は、20代~70代。
その世代ごとのライフイベントを切り口に物語が展開されます。そのため、だれが読んでも共感できます。
共感できる内容だからこそ、登場人物たちと同じように、節約や投資について「自分もやってみよう」と思えます。
登場人物の人生に寄り添いながら考えることで、自分の人生もこれまで以上に向き合えます。これが、実用書とは違う小説の魅力じゃないでしょうか。
お金の管理は大切なのはわかっているけど、目先の忙しさででもあと回しにしてしまう…。本書は、そんな人の背中をやさしく、それでいて力強く押してくれる本です。
「8×12」
具体的な手順もいくつも紹介されています。
その中の一つが、「8✕12」。
毎月8万ずつ貯金すれば1年(12か月)で100万円貯めることができるというもの。
※ボーナスの際は2万円
- もし30代なら、それを30年やれば3000万円貯めることができ、
- 仮に3%の複利で運用すれば5000万円近くなる
もちろん、毎月8万円、難しく感じる人が多いと思います。
でも聞いたらなんとかして、それに近づけようと努力してしまうのが人間の不思議なところなんだそうです。わかる気がしますね。できなそうでも、一瞬シミュレーションしてしまったと思います。
8万円を貯める。逆に言えば8万円さえ貯金すれば、あとは好きに使っていいということでもあります。
本書の教訓を一言でいえば
いま紹介した「8×12」は本書の中でもやや特殊なノウハウです。
本書で語られるお金に関する教訓の多くをシンプルにいえば、
固定費を見直して、小さなお金を貯める
節約・投資初心者にはおすすめです。
男性にこそ
表紙の雰囲気は女性をターゲットにしているような体裁になっています。
だから男性にとっては少し手に取りにくいかもしれません。
実際、登場人物の多くは女性です。女性目線で物語が展開していきます。でも内容は、男性も身につまされるところが多いです。
男性にとって「お金」はタブー
また、男性同士では、ほぼお金の話をしません。
お金の話は男性にとってみれば、知り合いや友人のお金事情は、ブラックボックスみたいなもの。
女性は、カフェでもけっこうリアルな自分の家庭のお金事情について話しています。というかそもそも、カフェで男性同士で会話をする光景自体があまり、というかほぼみないですが。
だから男性のお金リテラシーは、個人差が生まれやすいと思います。なかなか人に相談できないから、いろいろな妄想にもとらわれやすい。それでアブナイ投資にも手をだしてしまいやすくなる。
その意味では、男性にこそ本書を手に取ってもらいたいです。お金に関しての入門書にもなるはずです。
さいごに
小説としても面白いですが、役に立つノウハウもありますので、将来のお金の準備に二の足を踏んでいる人はぜひ。
また、人生100年時代、いきがいが見つからず悩んでいる人もいるかもしれません。
そんな人は、お金を生きがいにしてもいいかもしれません。
お金は一生つきあわなければならないものです。お金に関して学ぶことは決して無駄にはならないはずです。