『人は聞き方が9割』要約/レビュー/感想

人が一番求めているもの

人が一番求めているものそれは

安心感」です。

不安を感じやすい現代において
特に人は安心を求めています。

そして聞くことは、人に「安心」を与えることになります。

本書は、安心を与えるというテーマが屋台骨のように貫かれています。

「ねえ、聞いている?」問題

こっちははしっかり聞いているつもり。
でも、相手は「聞いてもらっていない」と不満を感じる場合があります。
この聞き手と話し手の間のギャップの原因は何か。

聞き手は、話の内容を聞いてもらいたいわけではないのです。
「感情」を聞いてもらいたいのです。
極論をいえばそういうことになります。

だから「言葉」だけを聞いて内容を理解しているからOKではありません。
相手からしたら「ちゃんと聞いてない」のです。
これからは次のような認識を持つようにしましょう。

聞く=「言葉」+「感情」を聞く

人がもっともほしい3つのこと

人には3大心理というものがあります。

  • 人は自分のことが一番大切
  • だれもが認めてほしい
  • 自分をわかってくれる人を好きになる

一言でいえば、人は「承認欲求」を満たしたいのです。
上手に聞くことは、相手の「認められたい」という強い欲求を満たすことができます。

話すことが気持ちいいわけ

赤ちゃんが最初に抱く欲求は何でしょう。
それは「排出」なんだそうです。生まれた瞬間の赤ちゃんは思い切り泣きますよね。吐き出しています。
出すことは原始的な欲求なんです。話すことも出すこと。そこには快の感情がともなうのです。
つまり、話したい欲求にうまく応えることができれば、相手を気持ちよくできるのです。

続いて本書で紹介されている聞くメリットを紹介します。

聞くメリット

  1. 語彙力が少なくてすむ
  2. 聞くことは読書と同じ
  3. 自分の盲点が見えてくる
  4. 人の感情が読めるようになる
  5. 相手を不快にさせるリスクが減る
  6. 沈黙をおそれなくなる
  7. 勝手にすごい人と思われる

ここではいくつかのポイントを紹介します。

②の「聞くことは読書」について。
相手の話を聞くことで、知識や経験を得られます。なにもインプットは読書に限ったことではありません。読書との違いは、インプットの入り口が目か耳かの違いです。

またよく「本に書かれた情報は古い」と言われることがあります。
それは本の内容は過去のことだからですね。一方、人から直接聞くことは、「旬な情報」を得られる場合があります。

⑤の不快にさせるリスクが減るというのは、会話では多く話す側にリスクがあるということです。話しすぎると口が滑ることもありますし、相手に誤解を与えることもあります。「口は災いの元」です。

⑥の沈黙におそれなくなるというのは、聞き手に回ってしまえば、話題を出す必要がなくなります。あなたはただ、ニコニコして相手が話すのを待つだけ。

聞くことのメリットを最大限活かすには「聞く技術」が必要になります。
次に本書で紹介されている魔法の傾聴方法を紹介します。

魔法の傾聴

魔法の傾聴のポイントは、「表情」「うなずき」「姿勢」「笑い」「感賛」の5つです。
この5つのポイントをおさえることで相手は「魔法にかかったように」あなたを好きになります。

1.表情

一番重要なのが笑顔です。
最強のコミュニケーションスキルとして紹介されています。

とくに初対面の相手には「笑顔の先出し」が効果的。
相手より先に笑顔をみせることを心がけましょう。

「目」もポイントです。
コロナ禍でマスクをすることが多い現在では特に重要。

目で表情をつくるコツ:

  • 相手の話をしっかり聞く時は眉間に力を入れると表情が引き締まる
  • 笑顔をつくるときは眉間を大きく開くイメージで
  • 驚いたときは、眉間を眉毛ごと大きく額に近づけることを意識する。目がハッと開くようになる

笑顔は世界中どんな人にも安心感を与え、心をひらき、気持ちを通じ合わせることができる最強のコミュニケーションスキル

2.うなずき

上手なうなずきも、話し手に安心感を与えます。

うなずきのポイントは「強弱を使い分けること」

  • 弱…ふだん聞くとき
  • 中…相手が感情を込めたとき
  • 強…自分自分も大きく納得、共感したとき

うなずきにリズムをつけることで会話もスムーズに進められます。

3.姿勢

よく傾聴では「全身で聴け」と言われます。

姿勢のポイントは、

  • 前傾姿勢で聞く
  • 相手にへそを向けて聞くです。

たとえちゃんと聞いていたとしても、姿勢が相手の方を向いていなければ相手を不安にさせてしまいます。
相手に姿勢を向けることで「相手の話をちゃんと聞いている」というメッセージを送ることができます。

4.笑い

笑わせようとする必要はありません。

ポイントは、「いかに相手の話に笑うか」です。
こちらが「いかに笑わせるか」ではありません。
どうすればいいか。一緒に笑えばいいのです。

笑うことにハードルの高さをかじる人もいるかもしれません。
その場合は、口角を上げながら話を聞くと笑いも出やすくなります。

5.感 賛

感 賛」とは、感嘆+称賛からなる著者の造語です。
リアクションの5割は、この「感 賛」で決まると紹介されています。

感嘆…「わあ」「へえー」「ほー」「おー」「キャー」などの驚きの表現
称賛…「すごい」「素敵」「いいね」「さすが」などのほめの表現

感 賛は、「驚き+ほめ」をセットにして使います。
「わあ、すごい!」「おー、いいね!」のようにです。

ポイントは、オーバーリアクション+笑顔です。
どんな内容であっても、話をしている本人は、自分の話は面白いと思っているものです。
少しオーバーなリアクションでちょうどいいのです。

この5つのツボを押さえれば、相手は「あなたに聞いてもらってよかった」と思ってくれるはずです。

大事なのは「心の在り方」

聞くテクニックを紹介しましたが、大事なのはテクニックではなく心の在り方だと著者は説きます。

大切なのは「敬意」と「好奇心」をもつことです。

他者は、自分にはない経験や長所を必ず持っています。
かならず何か得られるものがあります。
著者は、だれの中にもキラッと光るダイヤモンドがあると語ります。

さいごに

聞くことは最強の人たらしの方法だと本書を読むと感じます。
不安を安心に変える聞き方が説かれている本書は、このコロナ禍において必須の書といえます。

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